いまから。
いままでいきてきたなかでも
いまが
とてつもなく、からっぽなからだになりました。
あたまのなかにも、
おなかのなかにも、
てのひらのなかにも、
なにも、のこってはいないのでした。
きめられたおわりは、いつもやってくるものです。
しろうさぎは、つきのくれーたーへとかえってゆきます。
りゅうぐうじょうのかめは、うみのそこへとかえってゆきます。
あかずきんちゃんは、おばあさんのうでにだかれます。
となりにすむぶちねこは、いつもゆうぐれにかえってきます。
わたしは、ときどき
ことばのなかへと、かえってゆくから、
あなたは、
まっていなくて、だいじょうぶです。
からっぽになったわたしは、
やわらかいかいめんたいのすぽんじのように
ことばを、とめどなく、
からだのすみずみにまで、どくどく、と、おとをたてながらしみこませて、
たぷんたぷんのゆめのなかで、おぼれるのです。
だから、
からっぽになっても、
きっとへいきなので、
あなたは、まっていなくてもいいし、
いえ、まっていてといっても、まってはくれないけれど、
でも、
わたしは、また、ことばのおかげで、
わたし、を、うめてゆくことができるのです。
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